最近こんな本を読んでいる

最近、こんな本を読んでいます。

「雲」の楽しみ方

「雲」の楽しみ方

雲の写真集でもなく、雲の解説書でもなく、雲に関する話題や歴史を集めた本です。
ちょっと翻訳が的を得てない部分もあるような感じも受けますが、多くの人に読んでもらいたいなと思う本です。


自分がとても印象に残っているのは飛行機雲に関する記述です(以下内容とかぶります)。
近年の地球温暖化の話題の中でも飛行機の燃料のことは問題になっていることのひとつでしょう。
原油高となっている一因にももちろん飛行機の燃料のための確保問題も当然あると思います。


今月のskywordにも温暖化のためにどれだけ航空会社が努力しているのかといったことが書かれてありました。
もちろん航空機そのものの燃費をあげることも重要でしょう。


しかし、この本では全く異なる観点から温暖化問題を取り上げています。
それは「飛行機雲」の存在です。


航空機の燃費に関わらず発生する飛行機雲ですが、実際には高層に発生する巻雲や巻積雲の一種です。
航空機は上空を飛ぶ際に、上空に細かな塵をまいて飛んでいます。
この塵が雲の粒の核となり、雲として凝結する大気の場合には凝結(氷結)して航跡が飛行機雲として現れます。
問題となっているのは、この航跡です。


上空1万メートルでの飛行機雲は、時間が経つにつれて気流に流されて拡散し、日光を遮ります。
そして日光を遮ると同時に、地表から大気外へ熱が放出されるのを遮る役割も果たします。
地表の熱が大気外へ放出するのが遮られることは温暖化の促進へとつながります。
羽田空港では2分に1回、飛行機の離発着が繰り返されているのですから、これを地球に当てはめると、どれだけ途方もない数字になるか・・・。ということです。


実際に飛行機雲が発生しない気象条件の場所を航行するようにする実験もされているようです。
当然、航行位置の制御のために燃費は悪くなりますが、地表気温の上昇には航行位置の制御のほうが効果が期待できるそうです。
アメリカの9・11テロの際にも実は効果が現れていたそうです(飛行機が数日ストップしたため)。


ひとつのことにとらわれずに考えなくてはならない典型だと思います。
まだまだ知らないことは多すぎるなあと思った本でした。


興味を持った方、ぜひ読んでみてください。専門書ではないのでストレスなく読めそうです。